久世祭りとは

久世祭りは、岡山県北部の真庭市久世地区で毎年10月24日(宵祭り)・25日(本祭り)・26日(裏祭り)に行われます。

25日は、旧出雲街道を練り歩く五つの神社の御神輿が先行し10台の舟形だんじりが付き添う「五社御祭礼」、26日は、10台だんじりのみの「だんじり御祭礼」が執り行われます。25・26日の夜、久世地区の市街地中心部に設けられる「喧嘩場」でだんじり後方同士を激しくぶつけ合う「だんじり喧嘩」を繰り広げる勇壮な祭りです。

宵祭り

10月24日(宵祭り)午後6時頃から7時頃にかけて、帰省客出迎えでJR久世駅にだんじりが集結します。

昭和期、この時間に久世駅到着の汽車で岡山や関西方面などから帰省客が多く、提灯の灯りを燈すだんじりが出迎え、今日も続けられています。

JR久世駅を後にするだんじりは、秋が深まる夜道を太鼓と半鐘の町廻り囃子でゆっくり進み、静まり返る久世の町に祭りの始まりを告げます。

久世駅に揃うだんじり

五社御祭礼

10月25日(本祭り)午後3時、朝日神社地内の若王神社で神祭を執り行った五つの御神輿は旧出雲街道を東へと巡行を始めます。五つの御神輿の後ろには、供奉だんじりとして10台のだんじりが付き添い、賑やかな太鼓と半鐘の音色は祭り気分を一層盛り上げます。

だんじりに乗る青年は長襦袢姿で化粧をし、だんじりの宮に取り付けられた笹を千切って手に持ち、“ホイサァ~”の掛け声で「笹喧嘩」を繰り広げます。

久世は、古くから牛市と宿場町で栄え、戦前まで芸者が多く、売れっ子芸者の長襦袢を着て粋に笹喧嘩を見せるのが久世だんじり男のステータスでした。

だんじりは、少し進んではだんじりの前と後ろを重ねるように寄せて止めます。また、だんじりのロープを引っ張るのは子供達(小学生)で、だんじりに乗る青年を見て育ちます。

五社御祭礼で天神橋を渡るだんじり

薄暗くなったころ巡行を終えた五つの御神輿は、旧遷喬尋常小学校で五社御祭礼の締め括り「五社祝詞(ごしゃのっと)」を厳粛に執り行い、だんじりは夜の「だんじり喧嘩」に向け帰路につきます。

「五社祝詞」

10月26日(裏祭り)は、だんじりのみの「だんじり御祭礼」で午後1時30分出発後、25日(本祭り)とコースを変えJR久世駅前を経由し、午後3時頃、「喧嘩場」に到着しただんじりは整列し、次世代を担う子供達による「菓子撒き」が行われます。

26日子供達の菓子撒きで喧嘩場に揃うだんじり

俄留

「俄」は、「仁輪加」ともいい、江戸期から明治期に流行った素人が即興で演じる狂言や踊りのことで、家々の前で演じる俄を断る意味としてだんじりが家の玄関などに「俄留」と書いた札を貼りました。

今日は、寄付や花を頂いたお礼として貼られ、俄留(にわかどめ)の語呂合わせで宵祭りの夜半に貼るものとされ、だんじりは守り続けています。

「俄留」